第4章 Halloween
店先を飾るジャックオーランタン。
クリスマスを迎える前のイベントの一つで徐々にそのイベントは浸透しつつある。
赤や黄色に染まった街路樹の葉をカサカサと揺らす風から庇うように、オレはの手を引いて目的の場所へ向かった。
「だいたいな…Halloweenなんて何がおもしれぇんだよ。」
「だってぇ、楽しそうじゃない?仮装とか。」
から「Halloweenパーティーに行きたい!」と言われたのはほんの一週間前。
黄瀬に連絡してみりゃ、ちょうど都内のレストランを貸し切ってパーティーをするとの事でを連れて来る事になった。
「trick or treat!」
ドアを開けるとお決まりの言葉で黄瀬が迎え入れてくれた。
「青峰っち!久しぶりっスね!」
「ん…だな。」
黄瀬の長い睫毛が揺れてその視界にを捉えると黄瀬は満面の笑みを浮かべた。
「っちも、久しぶり!」
「お招きありがとう。」
「ドウイタシマシテ。」
本人に訊ねれば「狼男」だと言い張る黄瀬の仮装はどう見ても“犬”にしか見えない。
黄瀬から渡された仮装へ着替えを済ませると、既に着替え終わっていた。
(…ったく、吸血鬼なんて冴えねぇ…)
「大輝!ねねねッ!可愛いでしょ?」
猫耳に何故かメイド服のはよほど気に入ったのかキャッキャ嬉しそうに話している。
「あー…はいはい。可愛い可愛い。オレ飲み物取ってくるわ。」
オレの言葉に少し頬を膨らませたが上目遣いに覗き込む。
“そんな顔してると襲うぞ”
耳元でそっと囁くと顔を真っ赤にする姿に、襲ってしまいたい衝動に駆られながら飲み物を取って戻ってくると、
いかにもモデルって感じの男が数人を囲んでいた。
そいつらを掻き分けてオレはの腰を抱き寄せた。
「コイツに何か用?」
あまりの密着にが肩を叩いて抗議の声を上げた。
「ちょっと、大輝!」
「…んだよ。」
「近すぎ!」
「別にこれ位どーって事ねぇだろ。」
そしてオレはを囲んで居た男達を挑発するように片方の口元だけ上げる。
「コイツはオレのだから。」
首筋をひと舐めしてキツく吸い上げると遺る紅いシルシ。
“trick or treat…お菓子はオマエな?”
今度は唇にキスをした。