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【SS合同企画作品】冬が来るその前に

第10章 Happy Birthday!!


9月22日23時59分。
アタシは今頃ベッドの上でソワソワしているであろう愛しいアノ子の家の前に居る。
日付が変わったら真っ先に届くであろう彼女からのバースデーコール。
誰よりも早く。真っ先にアタシに「オメデトウ」を伝えたいと言うあの子の思考なんてお見通しなのよ。
愛しい彼女からのバースデーコールだけでアタシが満足するはずないじゃない?
携帯のデジタル表示がゼロになると同時に…手に伝わる振動。

「…もしもし?」

アタシの応答が早すぎたのかは一瞬間を置いた。

「…玲央、お誕生日おめでとう。」

アタシの耳に届くのは彼女の穏やかで優しい声。

「驚いたわ、素敵なサプライズをありがとう。」

本当はお見通しだったのだけれど、アタシの為に一生懸命なの思いを無碍に出来るはずもないじゃない。

「えへへ…」

照れ笑いを浮かべた彼女の声が電話口から聞こえてくる。
の照れ笑いを思い出せば今すぐ抱き締めたくなる。

「でもね、困ったわ…」
「えっ…?」

少し焦りを含んだ声色とベッドの軋む音。

「そんな事されたら、アナタに今すぐ会いたくなっちゃうじゃないの…」

顔が真っ赤になるを思い浮かべながら、アタシは思い切り甘い声で囁いた。
一向に返事のないにアタシは悪戯心を擽られる。

「やぁねぇ、そんなに照れなくても良いじゃない。」
「バ、バレた…?」
「分かるわよ、お見通しなんだから。」

クスクスと笑う声が聞こえて、私はへ囁いた。

「今度はアタシの番ね。」
「え?」
「、アナタを抱き締めさせてくれないかしら?」
「…うん…。」
「窓の外が見えるかしら?」

アタシがの部屋を見ていると、のシルエットがカーテン越しに浮かぶ。
シャッ…とカーテンが開けられた音が携帯から届くと同時にの姿を確認した。
慌てる様に玄関を飛び出してきたが可愛くて口元が緩む。

「どうしてッ?」
「日付が変わった瞬間、アナタを抱き締めたいと思ったのよ。」

目の前で頬を染めて瞳を揺らすをそっと抱き締める。

“最高のバースデーコールをありがとう”

耳元で囁くとは背中に手を回してもう一度囁いた。

“お誕生日おめでとう”
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