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【SS合同企画作品】冬が来るその前に

第4章 Halloween


「樋口さん、今度俺の家でハロウィンパーティーをします。」
ちらっとの姿を見た俺の視線を見逃すことなく樋口さんが「わかった。」とでも言うように
「連れて行くよ。」
そうやり取りしたのは1週間前だった。
二人肩を並べている姿は…面白くない。
とは言っても俺との関係を知っているのは樋口さんしか居ない。
二人が揃って訪問した事に葉山さんは驚きを見せた。
「ねぇねぇひぐっさん、さんってひぐっさんの彼女?」
「ただのクラスメイトだ葉山。アイツの彼氏は別にいる。」
葉山さんがの所へと向かう姿を目配せしてしてきた樋口さん。
それに応えるように俺は僅かに微笑んでみせる。
「いいのか?赤司。」
「想定内だ。彼女が楽しんでいるなら構わない。」
あの人達に囲まれて笑顔を見せるの姿を見つめながら手元に俺は視線を落とした。
俺の隣で樋口さんは何か言いたげな視線を向けた。
そんな視線を一蹴する様に、二人分の飲み物を手にの元へと向かった。
「楽しんでもらえているようですね。さん。」
「赤司君。今日はお招きありがとう。」
空になった彼女の手元のグラスと交換する様に新しいグラスを渡すと、彼女は安心した様に微笑んだ。
微かに触れ合う指先、そこから伝わる体温。慣れ親しんだ温もり。
頬を紅潮させた彼女にそっと耳打ちをする。
“隣の部屋で待ってるよ”
瞳を揺らした彼女の僅かな頷きにその場を静かに後にした。
一人で見上げる月が輝く夜空。
ふわっと鼻を掠めた香りに振り返ると愛しい彼女の姿。
彼女に向けて差し出した手にそっと重ねられた手を握って、身体を引き寄せる。
抱き締めた腕の中で彼女は抗議の声をあげた。
「もう!征十郎ってば一人で先に行くんだもん。上手く抜けてくるの大変だったんだからね?」
「随分と楽しそうだったからね。」
「もう!そんなこと言って実はヤキモ……?!
少し頬を膨らませた彼女が可愛くて塞いだ唇。
「どうした?続きがあるんじゃないか?」
頬を紅潮させ見つめられると煽られてるとしか思えない。
“Trick or Treat…俺にとってのお菓子は君だけどね”
耳元で囁くと背中に回された彼女の腕。
彼女をそっと抱きかかえてベッドに降ろす。
「さぁ…二人きりのハロウィンパーティーを始めよう。」
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