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【黒バス】今夜もアイシテル

第47章 ハッピーハロウィン



『来年は、仮装してどっか遊びに行きたいっスね』

当然のように交わす一年後の約束に胸が躍る。

彼にはどんな衣装が似合うだろう。
いや、問題なのは、何でも着こなしてしまう抜群のセンスと、無駄に整った容姿の方だ。

定番のモンスターは、いい意味で心臓に悪いことは確認済み。

警察官にパイロット、そしてドクター。職業系のコスプレは、考えただけで目がまわる。

じゃあ、犬耳に尻尾とか。
駄目駄目!そんなの誰にも見せられない。

『結?』

電話越しの声に胸がキュンとしなる。

嗚呼。もう、全部ひとり占めできたらいいのに。

欲しいのは、一粒のキャンディよりも、悪戯という名のご褒美。

「ふたりで……過ごす、という案はどう、でしょう」

一瞬の沈黙。

『オレは結だけのモンだって、いつも言ってんのに』

「っ」

その甘い囁きに、携帯を放り投げて布団にもぐり込む。

無意識なのか確信犯なのか、どちらにしてもたちが悪い。

でも、好き。大好き。

「……涼太のバカ」

口の中で小さくつぶやくと、私は手放したばかりの携帯にそろりと手を伸ばした。





応答のなくなった携帯を耳から離し、電話の向こうの恋人の姿をしばし妄想。

さっきの台詞が効いたんスかね?
いや、別に嘘じゃないけど。

「先に爆弾を落としたの、そっちっしょ」

時刻は深夜0時。
すっかり習慣になった彼女へのおやすみコールの真っ最中。

ホントは同じベッドの中で、その日の出来事を話しながら眠りたいんスけど。

でもそれは、そう遠くない未来の話。

キングサイズを置くなら、それなりの部屋を探さないとダメっスね。あとベッドは頑丈なやつ。

待て待て、狭いベッドでぴったり寄り添うのも悪くない。

「くぅ~たまんねぇ」

枕を胸に抱き込んで、ひとり淋しくベッドを転がる。

頑なにビデオ通話を拒否するところもたまらない。もう、彼女のカラダで知らない場所はないってのに。

あぁ、会いたい。

顔が見えない代わりに、もっと声を聞かせて。

イタズラ出来ないなら、せめてその甘い声を。

「……結」

通話状態のままの画面を指でそっと撫でると、オレは携帯を耳に押し当てた。





「「もしもし?」」





Trick or Treat.

Which one is better?

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