第3章 アイアンマン×発明家の助手
「ワォ…。」
普段は絶対に着ないスカイブルーのドレスに身を包んだ私は、目の前の光景に息を呑んだ。
ここはかの有名なトニー・スタークの私物で、有名な科学者や発明家、トップモデルに俳優・女優などなど、一般人ではお目にかかれない大物ばかりの盛大なパーティーだ。
勿論主催者はトニー・スターク。
こんな凄い所に何故私の様な庶民が来ているのかと言うと、私の師匠である先生はちょっとした有名な発明家で、私はその付き添い…………、のはずだったのだが、今先程先生から急遽来れないとの連絡が入り、お前が代わりに挨拶と謝罪をしてこいとの事。
マジふざけんなよクソじじい!!
知り合いなんて一人も居ねえし!!!
てか普段トニー・スタークと罵倒し合ってたんじゃなかったのかよ!!
マジふざけんなよ帰ったらぶん殴る。
私は入った時に貰った、お酒の入ったグラスからピシッと音が出る位に苛ついていた。
「失礼、お嬢さん。お一人かな?」
「あぁ、はい。」
何気なくかけられた声に振り向くと、何とあのトニー・スタークだった。
「ひっ、」
「おや、驚かせたかな?すまない。最近僕を見てそんなに驚く人と合ってなくてね。」
「こ、こちらこそすみません。(私が庶民って遠回しに言ってるよね)」
「それで、どうして一人なんだい?ジューク君は?」
「あ、つい先程来れないと連絡が入りまして、その、」
「まぁ、奴の事だから発明が良いところなんだろう。」
そうなのだ。
私の先生は発明に夢中になると、予定を全てキャンセルしてしまう様な人なのだ。
「だがこんなかわいい助手を一人にするのは感心しないな。」
「あの、よく覚えてましたね。私が先生の助手だって。」
「まあね、君はかわいいから特別だよ。」
そう言って、私の手を取ったトニー・スタークはそのまま私の手の甲にキスした。
ボンッ!
「あああああの!私、もう失礼しますね!?」
「え?いや、まだ来たばっかりだろう?」
「先生は帰ってぶん殴っとくんで!心配しないで下さい!!では失礼します!」
「え?あ、おい!君!!」
ショートした私の頭ではきちんと会話が出来ているかもわからないが、言うだけ言って帰ってしまった。
次の日、昨日履いていった片方のヒールが無いことに気づいたが、何処で無くしたか全く覚えていない。
end.