第5章 アイアンマン×発明家の助手2
とある研究室のドアが開かれると共に、若い女の声が響く。
「ちょっと先生!こないだはよくもやってくれましたね!!」
「うるさいぞ名無し子。今いい所なんだ。後にしてくれ。」
「いい所って……、何マリオやってんですか!!」
バッと名無し子は先生ことジューク・ヌクレラス(56)からゲームのコントローラーを奪うと、マリオが映っているテレビの電源を切った。
「おいっ!後少しでクッパだったのに!!」
「知るかンなもん!!それよりドタキャンしてまで続けてた発明はどうしたんですか!!!」
「ん?あぁ、こっちだ。」
ジュークはソファから重い腰(物理的に)を上げて、近くにあった布の被った置物の前に立った。
高さは180㎝であるジュークと同じ位だ。
「よく見ろよ。」
ジュークが勢い良く被っている布を捲ると、目に入ってきたのは、白く輝き、青や赤がよく映えるかっこいい………、
「…………………ガンダムですよね。」
「それ以外に見えるのか?手足や首は動くぞ!!」
ジュークが言い終わるや否や名無し子はジュークの首元を両手で掴むとガクガクと揺らし怒りを露にする。
「こんなモノのためにスタークさんのパーティーをドタキャンしたんですか!!!」
「ハッ!アイツのパーティーに比べたら一人でババヌキやってる方が有意義だな!」
「ババヌキは一人で出来ません!」
どうやらこのオヤジは、同じ発明家であるトニー・スタークをライバル視してるらしい。
名無し子は荒々しくジュークから手を離すと、さっさと自分の持ち場に着き荷物を置いた。
「大体ドタキャンするならもっと早く私だけでも連絡してくださいよ。」
イライラしながら恨みがましくブツブツと文句を言っていると、玄関の扉が叩かれた。
「珍しい、作業場にお客なんて。」
「あー、ここ2日よくわからん宗教の勧誘が来てたぞ。」
「ハァ?そうゆう時はもう来ないようハッキリ断ってって言ったじゃないですか。」
ハァ。とため息を吐きながら玄関の扉を開ける。
「すみませんが勧誘なら……、」
「やぁ、こないだぶりだね。勧誘したい気持ちは山程あるが、あいにく今日は別の用で来た。ジュークは居るか?」
玄関前に立っていたのは、にこやかに皮肉付きで挨拶をするトニー・スタークだった。