第4章 デッドプール×一般人
「デッドプール。」
「ん?なになに名無し子ちゃん」
「本当は何て名前なの?」
「何言ってんの、俺ちゃんデッドプール様だって言ったでしょ~?」
「でも、本名じゃないんでしょ?」
「そーだよ。」
一週間位前から、名無し子ちゃんはこの話ばかりだ。
本人曰く、「気になったから」らしい。
俺ちゃんとしてはこの話ばっかで面白くない。
《お前が自分の事曖昧にしてるからだろ?ザマァww》
イヤイヤ、俺ちゃんのお仕事はヒトゴロシだよ☆とか言えるわけねぇだろ。
【テキトーに嘘付きゃいいだろうが。】
ナルホド。
《でも面倒くせー!》
吹き出しと心の中で会話をしていると、名無し子ちゃんが、顔を覗き込んできた。
なになにチューして欲しいの?
俺ちゃん大歓迎!!
読者も期待してるよ!!
「ねぇってば。」
「ん?」
「だから夕飯食べてくの?」
「勿論☆」
ピース付きでそう返せば、笑いながら「バカ」と頭を小突かれた。
あぁ、仕事で頭を撃たれるよりコッチのが全然クる。
やっぱ優しさって大切よね。うんうん。
名無し子ちゃんは台所に向かってた足を止め、こちらを振り向いた。
なになに、やっぱ俺ちゃんのチューが(ry
「今は許してあげるけど、いつかは貴方の事教えてね。」
そう言ってまた名無し子ちゃんは台所に向った。
《ズキューーーーーッン!!!》
【ヤられたな。】
うるせぇお前ら黙ってろ。
普段なら「何なら今からベッドの上で教ちゃう☆」とか言って曖昧にするのに、出来なかった。
あの、今まで向けられた事が無いような。目を見ただけで伝わる“愛情”ってやつが、柄にもなく“愛しい”って、“幸せ”って思っちまったんだ。
絶対自分の事を話すなんて無理だとわかっていながら、どこか期待してしまうのは、きっと昨日の仕事で死に過ぎたからだ。
だって話したら名無し子ちゃん会ってくんねーだろ?
「ねーねー、何作んの?」
「んー、チミチャンガって言ったら手伝ってくれる?」
「え、マジで!?するする!!」
「はいはい、手洗ってね。」
そう言って、また名無し子ちゃんは笑った。
俺ちゃんが話さないのは、名無し子ちゃんと長く居れるようにするためだよ。
まだ離れるのは惜しいからサ。
だからゴメーンね♡
end.