第3章 ペリドットの癒し
疲れている時に限って脳が興奮して、眠りの質が悪いときがあったりする。
体はまだ休息を欲しているのに、意識が覚醒へと向かっていて、アレスは身動ぎした。
それは心地よい微睡みとは程遠く、アレスの感覚が不快感を捉えて体が緊張する。
アレスは目を閉じたまま、周囲の空間に感覚を研ぎ澄ました。
夜露に濡れた土の匂い。
虫の音に混じって、微かにだがルヴァイドの寝息が聞こえる。
しかし、彼の持つペリドットの波長が不自然だった事に、アレスは彼が心配になってそっと目を開けた。
「ルヴァイド……!!?」
寝袋に収まるルヴァイドとベッドで休んでいたアレスとの間に、見知らぬ男が佇んでいてアレスは慌てて飛び起きた。
眠るルヴァイドを見下ろしていたその男は、ゆっくりアレスに振り返る。