第8章 セレスタイトの歌声
「僕達が今まで仕えていたものは、虚像だったというのか…っ」
コートの裾を掴んで歯を食いしばるその顔には、悔しさからの涙が溢れて零れた。
「理不尽な命令にも耐えてきたというのに、これじゃ…あんまりだ…」
言葉を吐いて、イオスは異形のルヴァイドを見つめた。
「…ルヴァイド様の今の状況を、僕に分かるように説明してくれないか」
アレスとルヴァイドを見やり、状況説明を求める。〖中身〗のバルレルもどう話したものかと、思案しながら頬を掻いていて。
アレスはとりあえず分かることだけを答えた。
「…ルヴァイドの中に居るのは、聖女と一緒にいた召喚師の護衛獣で…」
「あの子供の悪魔か」
「本当はガキじゃねーんだよ」
誓約に縛られて子供の姿に変えられていたバルレルは、不服そうに唇を尖らせる。ルヴァイドの姿ですると不釣り合いなそれに、アレスは話の腰を折るなと注意を促した。