第8章 セレスタイトの歌声
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アレスは一人遅い朝食を済ませ、高く昇った日の下を散歩していた。
「みんな、あの食事でよく我慢してるわね」
携帯食だから仕方がないと言っても、味も素っ気もない食事では士気も削られるだろう。かと言って、私が食事の世話をしたことで、英気を養い任務成功しましたとされても困る話である。
「それにしても、私もすっかり旅団の一員ってカンジ」
自らの体を見下ろして、苦笑する。
イオスが貸してくれた服は、黒いパンツに黒いシャツ。
華奢な彼の体型よりも少し肉付きの良かったアレスは、特に胸元が苦しくて少しボタンを開けていた。
それを見たルヴァイドは、お尻まですっぽり隠れる丈のローブを貸してくれたのだった(もちろん支給品である)。
「全身黒づくめ…これじゃ逆に目立つわ」
着ていた服はもう使い物にならないので、早く買い物に行って新しい服を探したいな…と思考していたアレスの足が止まった。
開けた場所にぽつりと立っていたのは、あの機械兵士。