第5章 ラリマーの調和
+++
偵察に出たイオスの部隊が数名の負傷者を抱えて帰還した事に、ルヴァイドはある程度の予測をつけていた。
聖女一行と小規模な戦闘があったこと。
そして目の前のイオスの、元から色白な顔を蒼白にしているあたりから、アレスを連れ帰ることが出来なかったこと。
ルヴァイドは事務机に両肘をつき、手を組むとそれに項垂れた。
「…俺はお前に、偵察だけを命じたはずだ」
「も、申し訳ありません!!我々が先走り過ぎました…」
疲れたようなルヴァイドの声色に、イオスは責任を痛感して俯くしかない。
しかしどうしても報告しなければならない一件もあって、全身を緊張させながら口を開いた。
「あの、ルヴァイド様…」
「なんだ」
「アレスの事なのですが…」
極度の緊張に、言葉が出てこない。