第4章 アマゾナイトの希望
「貴方達って、本当に見てて飽きないわね」
クスクス笑うアレスのそのあまりに優しい笑みは、双子に遠い記憶を呼び起こさせた。
(母も喧嘩した僕達を叱った後、よく笑っていたっけ)
(俺はこの雰囲気を覚えてる。母さんの笑顔が好きだった)
――その微笑みに、ずっと微睡んでいたかった。
「どうしたの?」
茶色い瞳が、対になって自分を見つめてくることにアレスは首を傾いだ。
「何でもねぇ。ほら飯食いに行くんだろ」
リューグが先程のお返しと言わんばかりに、アレスの頭をガシガシと掻き乱す。
「リューグが苛めるよぉ」
「そのくらいにしておけよ」
「へーへー」
笑いながら3人で部屋を出ていく。
それぞれが胸中で、変わらず笑えて良かったと安堵していたとは知らずに――。
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