第4章 アマゾナイトの希望
「アメルちゃん、石持ってるでしょ?」
「あ、はい」
「ちょっと貸してみて」
アレスがそう言うと、アメルはスカートのポケットからハンカチで大事に包んだセレスタイトを差し出した。
それを受け取り、アレスは手のひらで包み込む。
精神を集中させて気を石に送り込み、弱った波動を強めてやった。
「はい終わり」
そう言ってアメルに差し渡せば、輝きを増している石の有り様に皆して驚いていた。
「輝きが全然違う…」
「鉱物鑑定士って、鑑定だけが能じゃないのね」
「石も疲れるんですよ」
何気に失礼な事を言うミモザに、アレスは苦笑いを噛み殺す。
「持ち主を守護して疲弊する石のパワーを持ち直してやるのも、鉱物鑑定士の仕事です」
優雅に紅茶を啜るアレスは、小さく言葉を続けた。