第6章 旅行の時間
来週から、京都に修学旅行に行く。普段はあまり行きたいとは思わない修学旅行も、今年は俺はドキドキでいっぱいだった。
「渚たちと同じ班だし、なんて言ったって今年は、あの叔父さんと一緒だし…」
今まで叔父さんとどこかに旅行なんてしたことがなかったため、俺は浮き足立っていた。
「友喜、何か嬉しいことでもあったのか? 最近、やけに料理が豪勢だが…」
その浮き足立ちは、叔父さんにも伝わっていたようだ。俺は図星をつかれ、しどろもどろになった。
「えっ!? あ…く、口に合わなかった?」
思えば、食費も叔父さんが出してくれているので、俺は申し訳なさで一杯になった。しかし、叔父さんは首を振った。
「いや、俺の好きなものだらけで、食が進む。友喜、おかわりを頼んでいいか?」
俺はホッとして、叔父さんからお茶碗を貰った。……知らず知らずのうちに、叔父さんの好きなものばかり食卓に並べていたようだ。叔父さんに山盛りのお茶碗を手渡すときには、叔父さんはハムスターのように頬が膨らんでいた。正直、写真に残したい。だけど、我慢我慢…!
「来週の修学旅行が楽しみだからかな」
「そうか」
俺は笑いながらそう答えた。流石に、叔父さんと一緒に京都に行けるから…とは言えない。すると、おじさんは珍しく、口を開いた。
「……てっきり、寺坂くんたちとの泊まりが楽しかったからかと思ったが」
「寺坂? ……ああ! 寺坂たちとは、1回だけ同じクラスになったことがあって。乱暴なところがあるけど、悪い奴らじゃないよ」
別に寺坂たちとつるむのは嫌ではない。ワルぶってはいるけど、話しやすい奴らではあった。きっかけは、俺が痴漢にあったとき、寺坂から助けてもらったことだ。そこから、寺坂たちと話すようになった。
「……そうか」
そこから、叔父さんは何を言っても曖昧な返事しか帰ってこなかった。俺は片付けをしようと立ち上がったが、叔父さんが先に食器を洗い始めてくれる。俺は洗い物を流し台に置くと、おじさんに声をかけた。
「じゃあ、俺お風呂入るね」
「ああ」
やはり叔父さんは上の空だ。…何か殺せんせーのことで何かあったのかな?