たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動
フルートの美しいソロを支える役割のあるサックスだが、今はその雰囲気を壊していた。
アンサンブルとして行動をしなければならない筈なのにアルトは速くてテナーは遅くてバリトンは完全自分の世界で演奏していた。これでは完全に個人プレーになってしまっている。
まぁ、そんな事もあったけど今剣がソロを吹き終わり、一礼すると拍手が飛んできた。
ここで一旦、今剣が自席に座る。観客は何が起きたか分かっていないが、ある刀が先程まで今剣のいた所に立つと全員が納得したように息を洩らした。
城護先生がアイコンタクトをとるとソリストである、岩融は頷いて弓を構える。もう一人のソリスト、それは彼であった。
本来ならばバンド全体を支える役割のコントラバスであるが、長身の岩融が演奏するコントラバスはチェロの様な響きをしていた。そのため今回のソリストに彼が抜擢された。