【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第6章 まわりみちの行方(後編)
全員がぞろぞろと帰り道を歩く。
誰も何も話さなかった。
その空気が変わったのは、
明るい大通りに出て、立花の膝に擦り傷ができていることに菅原が気づいた時だった。
「こっの……ばか!!」
菅原の怒鳴り声が響いた。みんな一斉にそちらを向く。
「どうしてこんな危ないことした!?」
立花の肩を掴んでうつむいた彼女を責め立てる。
「スガさん!違うんです俺たちが……。」
庇おうとする田中を澤村が止めた。
「田中西谷日向、お前らはあとで俺から話をさせてもらうから。」
冷静に、低い声でそう言われて、三人は震えあがった。
「ごめんなさい……。」
立花は消え入りそうな声で謝った。
「すぐ泣くくせに!怖がりのくせに!
どれだけ危ないことなのか考えなかったのか!?
俺や日向があの場所を見つけられなかったら、みんなの駆けつけるのがあと少し遅れてたら、
無事じゃすまなかったんだぞ!」
あまりの剣幕で怒る菅原に、一同呆然と見守ることしかできない。
立花はもう一度小さな声でごめん、とつぶやいた。
「……せっかく、お前から離れようとしたのに、
覚悟決めたのに、こんなことがあったら、
また心配で離れられなくなるべよ。」
菅原の急に力をなくした口調に、澤村は何かを察して、
みんなに先を歩くように促した。
「ほら、行け。あの二人は放っといていいから。」
後ろ髪を引かれる思いでみんなはその場を後にした。