【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第6章 まわりみちの行方(後編)
「日向!」
菅原がその背に声を投げる。
そのとき、菅原の背後から何かが飛んできて、それはまっすぐに日向を捕らえた男の顔面に炸裂した。
「ぶほ!」
男はうめき声をあげてうずくまる。
バレーボールが地面を転がる。
「影山!」
「日向何してんだしっかりしろボゲエ!!」
何事かと気を取られた男たちの隙をついて、
日向が別の男の足を思い切り払い蹴りする。
「うわあ!」
バランスを崩して倒れこむ。
「このチビ!ちょこまかと……。」
もう一発影山がボールを打ち込む。また一人別の男の後頭部に直撃する。
「影山ナイス殺人サーブ!」
日向が叫ぶ。
「菅原さん!」
日向が地面に投げ出されていたビデオを菅原に向かって投げる。
菅原はそれを受け取る。
「かえせ!」
うずくまっていた男が起き上がって菅原に襲い掛かる。
「ローリングサンダー!」
ようやく到着したらしい西谷が勢いよくそいつにぶつかって行く。
「西谷!」
この騒ぎに乗じて、口をふさがれていた立花がその手に思い切り噛みついた。
「いってえ!ふざっけんな……!」
怒った男は立花に向かってその腕を振り上げる。
「ちょっと、いい加減にしてもらえますかね?」
それをがっしりとつかんで離さないのは、旭だった。
「ひい!?」
その強面と体格に完全に委縮したらしく、
大人しく立花のことを開放する。
「こうちゃん!!」
立花は一目散に菅原の胸に飛び込む。
「みー!」
立花の身体を受け止めて抱きしめる。
「怪我は!?」
後ろ手に縛られたビニール紐をほどいてやりながら菅原は立花の状態を確認する。
「平気。」
その一言にほっとして、胸に顔を埋める彼女の背中を優しく撫でる。
「よかった……。」