第5章 Episodes櫻井:優しさの裏と表
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あんな事を言われたけど、
私はいったいどうしたらいいのだろ…
寮までへの道を歩きながら考えた。
そうしていたら
目の前に現れた櫻井さんの姿
私を見るなり慌てて、
バタバタと逃げ去って行った。
私を拒絶するだろう、
生徒会長さんの予想は当たっていた。
「…助けるなんて無理だよ」
どうやって助けたらいいの
助けたことなんてないよ
助けられてばっかりだもの
分かんないよ…!
でもあんな弱々しい生徒会長さん、
短期間しかまだ居ないけど
初めて見た
きっと本当に心配なんだ
だったらなんとかしなくちゃダメだ
だけどやっぱり…
「あー。ちゃんやーんっ
奇遇やん?あ、運命かなー?
んふふ〜。どないしたーんっ
暗い顔してっっ!」
「…に、錦戸さん…。
いつも以上に元気ですね…
櫻井さんとお話したくて
でも避けられてるんです」
「せやろな。翔は歪んだ優しさ
あるからなー。ニノみたいやな
あ、でもアイツは普通に優しいか」
ははは、とあっけらかんに笑う錦戸さん
なんか前と違って、
友達みたいに話してくれるな…
「翔は実はニノと幼馴染みなんやで
まあ、アイツんち父親が政治系の
仕事しとるし母親は会社の社長しとるし
しかも長男やろ〜?色々あったみたいやで」
「い、ろいろ…」
「詳しくは知らんけどな
俺が言うのもアレやけどさ
翔は家のこと話したがらんねん」
協力出来んですまんな、
申し訳なさそうに謝る錦戸さん
「あ!でも」
思い出したように声を上げる
「大倉なら何か知っとるかもしれん」
そうと来たら寮に帰るで!!!
錦戸さんに腕を掴まれ、
全速力で走らされた