第5章 Episodes櫻井:優しさの裏と表
それからセリナは萌乃に対して、
ひどい言葉を浴びせた
出来損ない、居なくたっていい存在
普通の学校に通うのは、受験に落ちたから
この家の汚点だ
きっと萌乃が心のどこかで気にしていること
萌乃は泣いていた
「…セリナ、何言ってるんだ」
たまらず出て行くと、
俺の姿に驚いた顔をした
「な、んで…」
「レンが言ってた。
セリナは萌乃を傷つけてるって
嘘だと思いたかったんだ。なのにお前…」
「だからっ!言ったでしょう!
この女、お兄ちゃんの前では
いい子ぶりっ子してたのよ…!!」
悔しそうに表情を歪め、
キッと萌乃を睨んだ。
それは優しいセリナとは違った。
「覚えてなさい萌乃さん
私を怒らせたらどうなるか…、」
セリナはそう言い放った。
そして、俺を見た
「…っ、諦めない
私、翔さんのこと…!」
それだけ言って、
部屋から飛び出して行った