第13章 存在の証明
田所
「私がメインで調理を・・・?」
堂島
「そう、レシピも君が決めるんだ。幸平はサブとしてサポートに回れ。」
幸平
「なっ・・・」
堂島のいきなりの指示に焦る二人
幸平
「堂島先輩!食戟を挑んだのは俺っすよ!なのになんで・・・」
反論する幸平をすかさず止める
堂島
「もともと成立しない勝負を俺が取り持ったんだ。俺の出す条件も呑んで貰う。幸平・・・君の料理で勝ち、田所が生き延びたとしよう。それが何になる?」
堂島の言おうとすることに予想がついているのか、幸平は黙って話を聞くしかなかった。
堂島
「そんなことをしても金魚の糞であることは変わらん。早晩別の課題で蹴落とされるだけだろう。これからも幸平に・・・誰かに助けてもらうのか?ここでは己の価値はその腕で証明しなければならない。田所が遠月に残るべき人材か否か・・・それを示すべきは彼女自身。」
そして堂島は田所の目の前に行き、調理台に手をつき言った。
堂島
「今夜この時・・・この調理台において、田所君、君がシェフだ。」
呆然とする田所
すると向かえの調理台から声がかかる。
四宮
「堂島さん、俺はもう作る品を決めました。先に調理を始めても?」
堂島
「ああ、かまわない。」
四宮は中央の台から野菜を選び幸平の元へ寄った。
四宮
「フン・・・同情するぜ幸平!」
幸平はそれに挑発的な目で返す
幸平
「・・・何がすか。」
四宮
「絶望的な気分だろ?あの鈍間に自分のクビがかかってるんだからな。」
四宮のこの発言に幸平以上に嫌な顔をしたのは乾だった。
乾
「聞きました!?今の憎たらしい言い方!」
ドナード
「そんなだから女性と長続きしないんですよ、四宮さんは。」
水原
「四宮ってホント性格悪いと思う。」
乾に始まり、次々と口を出す卒業生たち
四宮
「外野は黙ってろ!!!っつーかヒナコてめぇ、いつの間に縄を・・・!」
そう、乾はいつの間にか椅子に縛り付けていた縄を解き、自由の身になっていた。