第12章 卒業生たち
そして時は午後6時
ホテル遠月離宮の別館、地下1階
堂島
「今回の合宿でここを使う予定はない。ここなら・・・邪魔は入らない。」
そこにある小さな厨房には四宮、幸平、田所、堂島
さらに・・・
田所
「え!?」
水原、ドナード、関守、乾も揃っていた。
田所
「ど、どうして卒業生の人たちがこんなに・・・?」
慌てる田所と落ち着いた様子の幸平
堂島
「審査員として来てもらった。乾ではどうも判定が偏りそうだからな。」
当の乾は椅子に体を縛り付けられ、首から手作り感満載の段ボールの札をぶら下げている。
その札には"ただの観客"と書かれていた。
ドナード
「非公式の食戟・・・しかも合宿の最中で卒業生vs在校生・・・シャペル先生に知れたらどうなるかな。」
関守
「怒られるだろうな・・・こっぴどく。」
水原
「もしもバレたら、私は逃げる。全部四宮のせいにする。」
ボソッとつぶやく水原
四宮
「聞こえてんぞ、水原コラァ!!」
堂島
「只今より、2対1の野試合を執り行う!今日の課題で余った野菜類・・・これを使った料理をお題として・・・」
説明する堂島の言葉を耳に入れつつ、田所は心に強く思う
田所
(初日の課題・・・あの時みたいに全力でサポートするっ・・・私のせいで創真君が退学になるなんて、絶対に嫌だ!!)
が、堂島はその思いを打ち壊す一言を発した。
堂島
「さらに・・・もうひとつ条件を付ける。田所恵、君がメインで調理するんだ。」
二人の空気が固まった。
堂島
「それでは、食戟、開戦だ!!」
呆然とする二人を気にせず、開始の合図は出されてしまった。