• テキストサイズ

それはまるで、魔法のようで =食戟のソーマ=

第11章 至上のルセット



合宿二日目

午前9時

遠月学園高等部1年の生徒たちは今日もまた決められた場所で課題を受けていた。

昨日と変わらない班で(各班人数はかなり減ったが)講師を入れ替えてのローテーションシステムだったが、四宮はそれに背きこっそりと雪乃を自分のところから外した。

本人は気づいてないとはいえ、今は会いたくなかったのだろう。

雪乃は水原冬美シェフの元、イタリア料理の課題を受けていた。

水原
「課題内容は配布したプリントの通りだ。はじめ!」

雪乃はそのプリントに刷られた文字を読む・・・



=課題=

イタリア料理の基礎となる野菜"トマト"を使い、コースメニューのデザートとなる一品を作れ。

尚、使う野菜、調理器具等は各自持ち込み可とする。

制限時間は5時間



雪乃
(5時間もとってくれるのか・・・。)

そのやたら長い時間に嫌な予感がしていた雪乃は、その身の回りを確認した。

そしてあることに気づき、ため息をついた。

雪乃
(また冷蔵庫がない・・・。お題はデザートで、冷蔵庫はなし・・・ん?まて、なんでここにはこんなにも"必要なはずの"道具が揃っていない!?・・・そうか、必要な道具を運ぶことを考えると、この5時間は最低限の時間に過ぎないのか!5時間もあるとのんびりしていたら、あとで時間が足りなくなる!!)

顔を上げた雪乃はたまたま水原と目があったのでにっこりと笑った。

水原
(あいつ・・・気づいたか。そう、ここで重要視しなければいけないのは器具。料理は材料があってもそれを作るための器具がないと作れない。そのことに気づいていない者は調理している途中でないことを知る。先に進めなくなり、思考が停止する。停止している時間、道具の移動時間・・・そうこうしているうちに調理の時間などすぐになくなる。さて、調理前にそのことに気づけるのは何人だ?)

生徒が一通りプリントに目を通したのを確認した水原は開始の合図を出した。

水原
「それでは、始め!」
/ 254ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp