第10章 過去の秘密
一度話すのを止めた雪乃に伊武崎はすかさず問いかける。
伊武崎
「で、それがなんで四宮さんに言えないの?」
四宮がドアの向こうにいることに気づいての発言だろう。
雪乃はそんなことも知らず、目を強く閉じ、涙をこらえて言った。
雪乃
「彼女は僕の実家があった場所や、彼女の兄の店だった場所を案内してくれた。」
伊武崎
「・・・・へぇ。」
雪乃
「そこで知ってしまったんだ。
僕の人生最大の悲劇の引き金となる、あの買取人のいじわるな言葉。
あれを言ったのは・・・・
お兄ちゃん、四宮小次郎だったんだ・・・。」