第33章 沖田の憂鬱
姫奪還に成功した俺は、屯所に帰りさんの部屋でご満悦にくつろぐ
寝ころがりながら側に座るさんを横目で見ると何か考え込んでいる様子
すると、何か閃いたのかポンと手を鳴らし満面の笑みでこちらを見てくる
『総悟って神楽ちゃんのこと好きなんでしょー?』
は?いきなり何を言いだすんだ
見当違いも甚だしい
そんな俺の思いもつゆ知らず
さんは目をキラキラさせて返答を待っている
「そんなんありえないでさぁ」
俺は苦虫を噛み潰したような顔をして答えたが
『照れんなってぇ。だから今日万事屋に来たんでしょ?』
何でこの人はこれ程までに鈍いんだ
あまりの鈍さに苛立ち
さんの腕を掴み
ドンッ
と壁に押しやった
「黙りなせぇ。でないとその口塞ぎますぜィ」
そう耳元で囁きさんの唇を親指でソッと撫でた
『ご、ごめん!俺が悪かった…っ!』
ビクンと肩を揺らし、顔を真っ赤にして慌てふためくさんは可愛いったりゃありゃしねぇ
もう少しこのままで居たい所だが生憎俺の理性が持ちそうにないので掴んでいた腕を解放した
「飯の時間でさぁ」
それだけ言ってさんを残し部屋を出た
しかしさんの鈍さには困ったもんですねィ
今のまま想いを伝えても弟だなんだって言ってすっとぼけそうだし
まずは男を意識させて弟脱却といきますかねェ
俺の想い、嫌っていうほど分からしてやりまさぁーー