第12章 非番の過ごし方
奥の部屋に案内され新八くんが、どうぞとお茶を出してくれた
「んで、依頼ってぇのは何だぁ?」
『その、万事屋さんは何でも屋だと伺いました。二人には言ってなかったけど俺十年前以降の記憶がないんだ…だから、俺の記憶を探して貰えないでしょうか?』
二人は戸惑ったように銀さんを見る
当の銀さんは足を机の上に投げ出し、ジャンプを顔に被せたまま黙りだ
俺は沈黙を破るように銀さんに声をかけようとしたら
「そいつはできねぇ」
今まで聞いたことないくらい冷たい声だった
「記憶ってのは自分で思い出すことに意味があんだよ。仮に俺たちが過去のお前のことを調べて、そこで得た情報をお前に伝えてもそれはお前の記憶にはならねぇ。それに忘れちまうくらいの過去ならいっそ思い出さない方がいーんじゃねぇの?だからこの依頼は断る。さっさと帰んな」
銀さんの言う通りだ
『そ…う、ですよね。すいませんでした変な依頼しちゃって。俺、帰ります』
俺は、お邪魔しました、と逃げるように万事屋を出たーー