第57章 最終節:第二十一訓
「ったく、うるせぇ奴らでさぁ。さん、逃げやすぜィ」
言うと同時にまたしても俺の腕を引き、隙間をぬって走り出す
「「「待てゴラァァァァォ‼︎‼︎‼︎」」」
すごい剣幕で追ってくるトシと銀にぃと小太郎
しっかりと繋いだ手から総悟の体温を感じる
隣を走る総悟は何だか楽しそうだ
そんな総悟を見ていると
俺まで楽しくなって
自然と口を衝いて言葉が溢れる
『総悟、大好きっ!』
満面の笑みを浮かべる
すると、総悟は足を止め俯いた
『どうしたの、総悟?』
俺は俯く総悟の顔を覗き込む
「不意打ちは反則でさぁ」
呟くと同時に唇に柔らかいものが押しあてられた
チュッ
と軽いリップ音を立ててそれは離れた
そして
「俺も大好きでさぁ!」
そう言って総悟は幸せそうに笑った
後方からは悲鳴と怒声が入り混じる
「さぁ、逃げますぜィ」
お互い顔を見合わせ、笑い合いながら走り出したーー