第49章 最終節:第十三訓
その瞳が双葉の姿を捉えた
さんはゆっくりとこちらに歩み寄る
双葉はヒッと小さく悲鳴をもらす
さんを止めないと
「……さ、ん…」
だがしかし、さんは俺の前で膝から崩れ落ちた
そして片方の刀を置き、その手でそっと俺の頬を包み、額を合わせた
『遅くなってごめん……ごめんね、総悟…』
暖かい滴がさんを伝って俺の頬を濡らした
「な、んで…さんが、謝るん…です、かィ?」
『総悟を……守れなかったから…っ!』
安堵と戸惑いの表情を浮かべながら俺たちの様子を見ていた双葉は、やがて絞り出すように声をあげた
「だったら……どうしてっ…私を斬らないんですか?」
そっと額から頭を離し、俺の背後にいる双葉を見据える
『あなたを斬ると悲しむ人がいるみたいだから。それに俺にはあなたを斬れないよ』
さんは曖昧な笑みを浮かべ、双葉は当惑する
「それってどういうっ…ーー」
『すみません。総悟を頼みます』
双葉の言葉を遮り、俺の体を双葉に預けた直後
刀が振り下ろされた
それを刀を握っていた方の手で受け止める