第45章 最終節:第九訓
『知り合いってことではないけど、この人なら今真選組で女中してるよ』
「そーか、なら話は早ぇ。さっそくーー」
「大変です局長ーー‼︎」
ドタドタと騒がしい足音で話が中断された
トシが廊下を走るザキに怒鳴る
「うるっせぇぞ山崎ィ‼︎近藤さんなら留守だ。用があるなら俺に言え」
「ふ、副長っ⁉︎えっと……その…」
ザキはしどろもどろになりトシから視線を逸らす
「山崎ィ、俺に隠し事たァいい度胸じゃねぇか。あぁ⁉︎」
「ヒィッ⁉︎」
さすが泣く子も黙る鬼副長
トシの一睨みでザキはあっさり口を割った
「実は、最近攘夷浪士の中で不穏な動きがあるとのことで、俺と沖田隊長は内密に探るようにと局長から言われてたんです。それでさっきも沖田隊長と双葉さんの後をついてたんですが、あんぱんを買いに一瞬目を離したら二人を見失ってしまって……」
「テんメェは何やってんだ、ボケ‼︎仕事ナメてんのか⁉︎士道不覚悟で切腹だァァァァ‼︎」
「す、すいませんでしたァァァ」
ザキは刀を抜くトシから逃れるよう俺の後ろに身を隠す
俺は庇うようにザキに向き直す
『ねぇ、確か双葉さんって攘夷浪士に追われてたんだよね?コレって不味くない?俺、二人を探しに行ってくるよ‼︎ザキ、二人を見失った場所を教えて?』