第80章 再生の道へ
「科学班の皆は今、勤務時間でしょ。仕事中じゃ来れないよ」
「…相変わらず仕事中毒さなー…」
「らしいと言えばそうですけどね…」
相変わらずの仕事中毒さに呆れつつ、それ以上の感心で頷く。
「南さんの退院見届けたら、科学班にコーヒー淹れに行こうかな…」
「なら私も手伝っていいかしら?リナリーちゃん」
「うん。助かるよミランダ」
「あ、それ皆喜ぶだろうね。リナリーは科学班のアイドルだし」
「アイドルなんて…」
「ふふ。その言葉はぴったりだと思うわよ」
「もう、ミランダまで何言ってるのっ」
笑顔を綻ばせる南の隣で、つられて笑うミランダ。
そんな二人に照れの混じる表情を見せるリナリーに、つられてアレン達の空気も和む。
「いつまで其処で立ち話をしてるつもりかしら?」
その空気を一気に凍り付かせたのは、解放された扉の外から舞い込んできた冷たい声だった。
「げ」
「うわ」
「あ…」
「び…吃驚した…」
「ふ、ふふ婦長さ…っ」
「落ち着け、ミランダ」
「何かしらその反応。失礼ね」
ミランダとリナリーを覗く面子には馴染みある冷たい空気。
忽ちサァッと顔を青くするラビとアレンと南に、空気の冷たさを感じて動揺するリナリーとミランダ。
唯一マリだけが、婦長の心音を耳に彼女が怒ってなどいないことを理解していた。