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科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



「っ…頼りないだろうけど…私も、その手を握っていたいです…っ一緒に立って、いたい」



しゃくり上げながらも、なんとか振り絞り出した言葉。
それはリーバーには聞き覚えのある言葉だった。






"神田みたいに、盾になってお前を守ることはできないかもしれないが…その手を握って、一緒に立っていたい。崩れ落ちそうになるなら、いくらでも俺が受け止めるから"






アジア支部へと向かう任務の途中、暗いホテルの一室で。
涙を堪えて一人で立とうとしていた南に、リーバー自身が投げかけた言葉だった。



「私も…リーバ…はんちょ…支え、てたい…です…っ」



顔に袖を押し付けたまま、くしゃりと歪んだ顔から零れ落ちていく幾つもの涙。
しゃくりながら辿々しく言葉を紡ぐ様は、まるで幼い子供のようだった。
幼い子供のように涙を零し、けれど支えていたいと、一緒に立っていたいと本音を零す。

そんな南の姿に、くっとリーバーは唇を噛んだ。



「ひくっ……?」



一度出てしまえば中々止まらない、涙のしゃくり声。
えぐえぐと泣き続けていた南の、涙でぼやけた視界がふと暗くなる。
何かと視線を上げると同時に、体は束縛された。



「っ……んちょ…?」



二つの大きな腕によって。

強い束縛だった。
何度も夜更かししては、それに埋もれてきたのだろう。
くたびれた白衣から伝わるのは、コーヒーの匂いと、浸けペンのインクの匂い。
強く抱き込まれて、見えるのは目の端に映る小麦色の髪と書類が散乱している部屋の内装。

急なリーバーの強いくらいの抱擁に、一瞬何事かと頭の思考が止まる。
驚きで、しゃくり声も止まってしまった。



「………」

「班、長……?」



反応を見せないリーバーに、もう一度。
今度ははっきりと呼びかける。
恐る恐る指先を伸ばせば、その体が微かに震えていることに南は気付いた。

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