第69章 夢世界
───ラビ…!
声がする。
───ラビ!
段々とはっきりと、大きくなっていく声。
それは紛れもなく49番目の"オレ"を呼ぶ声。
───ラビ!!
48番目までのオレじゃない、その名前。
オレの持っている名前とは違う。
なのに。
「………」
その声を耳にすると、呼ばれているような気になった。
"ラビ"
彼女の声を思い出すと、温かくなる心があった。
…ああ。
そっか。
「"お前"も"オレ"だったな」
なんでそんな簡単なことに気付かなかったんだろう。
48番目までのオレも49番目の"ラビ"も。
結局はひとつ。
お前はオレで、オレはお前。
戦争に呆れた心も。
ジジイの言葉に辛さを感じた心も。
教団の皆に寄り添ってしまった心も。
そして、彼女に恋した心も。
全部、オレとお前の心だ。
「…そう、南が言ってくれたんだっけ…」
すとんとその思いが、呆気なく心に落ちた時。
───トプンッ
幼いオレの体は、足元の水場に沈んで消えた。
「…出られちゃったかぁ…約束だからね」
この勝負、キミの勝ちだよ
"ラビ"───…ブックマンJr.