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科学班の恋【D.Gray-man】

第51章 12/25Xmas(番外編)



最近、つい目で追ってしまう人がいる。



「ふぁーあ…眠ィ…あ。メリクリー、アレン」

「おはようございます。寝不足ですか?ラビ」

「んー、つい本読み耽っちまって…」



初めて会話したのは、この教団に入団して数回目の任務を終えた時。
左手のイノセンスを負傷してしまって、コムイさんのあの容赦ない修理を受けなくちゃいけなくなって。
嫌々ながら、その修理室(という名の実験室)に赴いた。






"はじめまして、だね。アレン・ウォーカー君"






其処で初めて僕のイノセンスの視診を担当してくれたのが彼女だった。
僕の左手を興味深そうに診察する姿は他の科学班の皆と一緒で、その時はなんとも思わなかったんだけど。






"じゃ、修理始めるよーん☆"

"お、お手柔らかにお願いします…"

"大丈夫、大丈夫。あ、南くん。そこのドリル取って"

"はい"

"なんかいつもより大きくありません、それ!?"






いつものように巨大なドリルを構えて修理を始めるコムイさんに、トラウマになってたそれに固く目を瞑った。
その時感じたのは、右手に触れる体温。






"アレン君、こっち見て。こっち"






目を開けて見えたのは、僕の右手を握っている女性の手。
真っ直ぐに見てくる目とぶつかって、僕を見て彼女はにっこり笑った。






"こういう時は、お話でもしよう!好きな食べ物は?"

"えっ?み、みたらし団子です…っ"

"あ、和菓子ね!いいね、私も好きだよ。三色団子とかよもぎ団子とかも…"

"あ、あの…気を紛らわせてくれるのは嬉しいんですけど…"

"ん?"

"それ所じゃないです…!"






大きなドリル音と衝撃は他愛ない話じゃ紛れてくれなくて、結局無意味に終わってしまったんだけど。






"お疲れ様。なんか…色々と。本当、お疲れ様"

"これ、別の修理方法ないんですか…"

"これが一番迅速なんだよー。諦めてね、アレンくん"






項垂れる僕に容赦なく言い放つコムイさんの隣で、同情しながらも彼女はずっと僕の右手を握ってくれていた。

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