第5章 蓮の蕾
その後、千鶴ちゃんに屯所内を案内してもらった後、独りで歩き回っているとあっという間に時間は経ち、夕餉になった。
「え?俺も広間で?」
なんと…めんど……
「俺は部屋でい──」
「いいから行こうぜ!」
「ちょ、わかったから、引っ張るなって平助」
藤堂さんもとい平助に半ば引き摺られて広間まで行く。
ちなみに敬語はいらないと言われたのでありがたく崩した言葉遣いだ。
「玻瑠連れてきたぜー!」
広間には幹部方と千鶴ちゃんの姿が。
…まあ千鶴ちゃんと食べれるならいっか。
ぐるっと見回すと空いている席が二つ。
俺が立ち上がっている間に平助がそれの一つを埋めたから残るは一つになった。
「玻瑠くん、こっちこっち」
にこにこと笑うその顔には裏がありそうで踏みつけたくなる。
…千鶴ちゃんの隣が良かったなぁ。
物腰の柔らかい男と沖田の間の席に腰をおろす。
「千鶴ちゃんの隣が良かったって思ってるでしょ」
「間を割ってしまったようですいません…えと…」
沖田を軽く無視して声をかけるとその人は優しく微笑んだ。
「あぁ、私は井上源三郎です。気にしないでいいんだよ」
「浅谷玻瑠です。ありがとうございます」
優しいのがよく伝わってくる、そんな安心する感じの人だなぁ…
「…ちょっと玻瑠くん、なんで無視するのさ」