第3章 赤い夫との会社
2時間後
『つ、疲れた……………』
私は社内のカフェで1人コーヒーを飲んで一息ついていた。
「お疲れさま」
後ろから聞き慣れた声がした。
『社長。お疲れ様です』
私は席を立って頭を少し下げた。
「美桜。今は2人きりだからいいよ」
『う、うん。分かった』
私は会社では征十郎に対しては敬語だ。夫婦ではあるが社長と秘書の関係なのでそこはしっかりと線引きしている。征十郎自身は別に敬語を使わなくて良いと言ってくれているが、私が嫌なので使っている。
『征十郎もコーヒーいる?』
「いる」
征十郎はそう言うと立ち上がった。
『私が買ってくる………って、え!?』
征十郎は私の手首を掴むとスタスタと歩きだした。
『ど、どこいくん!?』
「いいから」
こうなると言うことを聞いてもらえないのは知っているので渋々付いていく事にした。