第17章 赤い夫との誘拐
征十郎がしばらく私の背中をさすったりしてくれていたので、だいぶ涙が引いた。
「落ち着いた?」
『うん』
私は涙でびっしょりと肩が濡れてしまった征十郎のシャツを見て申し訳ないと思いながら離れた。征十郎が私の頬に手を置いてじっと前から私を見つめる。
『…………ん?』
「美桜。あの男たちにされたこと教えて」
征十郎から聞くところによると男たちはFBIの方に渡されて、私もこんな状況だったので今は倉庫に2人きりの状態である。
『服を破かれて……。後は首すじを舐められたり匂い嗅がれたり?あとは……………』
"あとは"の続きを言おうか悩んだ。だが、他の、征十郎以外の人にあのような場所を触られたのは正直気持ち悪い。というか吐き気がする。それに感じていた自分にも嫌悪を抱いている。
「あとは?何なんだい?」
『………………。触られた』
「どこを」
『こ、ここ』
私は頬に置かれている征十郎の手を掴み、そこへと当てた。
『ぐしゃぐしゃにされた』
「…………だからこんなに濡れてたのか」
征十郎は怒ったような低い低い声で言った。
え?その言い方ってさっきから知ってたってこと?
『せ、征十郎?あの、さっきから濡れてたのは…………』
「ああ。知っていたよ」
…………まじか。