第11章 11
どうしても朝日奈さんから欲しかった言葉が、私の心のなかにじんわりと染み込んできた。
「あの冬の日から朝日奈さんに会えなくて、不安で不安で仕方がなかったんです。
だから、どうか、一緒に…そばにいてくださいませんか?もうなにも言わずに何処かへ消えたりしないでください…!」
唇に柔らかな感触が降りてくる。
一瞬とも永遠ともつかぬ感覚。
「さくら、笑って?さくらには笑顔が似合うから」
しなやかで長い指が優しく頬を撫でる。
私は顔を伏せて指で目頭を押さえ、再び顔をあげ、とびきりの笑顔を朝日奈さんに向けた。
「はい、朝日奈さん。大好きです!」
困った顔をしながら朝日奈さんはいつものように私の頭を撫でた。