第20章 ➕コーダ
「そ。じゃ、岩ちゃんやろ」
及川がそれの束を差し出してくる。
俺は受け取り、及川の火の付いたやつにくっつける。
パチパチとラムネの様に最初は少し爆ぜ、しばらくすると火薬は丸まり赤く燃えながらゆらゆら揺れた。
「キレーだね」
案外子供っぽいところのある及川はキラキラ目を輝かせている。
「ああ」
ポタリ、と、火薬が色を失い落ちる。
新しい物に火をつけた。
「ね、いっぱい一緒にやったら大きな丸ができるかな?」
及川が最後の1束を手に云う。
「やってみたらいいじゃねぇか」
「いいのっ?!」
頷く。
パァ、と花が開くような綺麗な顔で及川が笑う。
「よし、じゃあ点火!」
シュッと花火を1束まとめたまま火をつける。
まあ、結果的に云えばそれ程じゃなかった。
普通より赤く丸く燃えた火の玉がシュルシュル揺れる。