第20章 ➕コーダ
ねずみ花火やら置いて吹き上がる花火。
シュウシュウと赤い火が出る花火。
次々にマッチ売りの少女の様に火をつけていく。
子供のように声をあげたりしないが花火を見て澤木も及川もニコニコしている。
「最後は線香花火だよね!」
三人でやれば早いもので色々あった花火は綺麗に燃え尽きた。
袋の底に残ったのは細い糸状の線香花火。
「私、それ嫌いだから見てます」
澤木は今までの花火の消し炭をゴミ袋に詰め水をこぼす。
「何で?綺麗じゃん」
不思議そうに云う及川にジッポーを投げ彼女は新しい水をくんだ。
「熟れた林檎とか、寒椿とか、ああいう物が落ちるみたいで嫌いです」
寒椿がぼたりと雪に負けて落ちる姿は斬首にも例えられる。