第10章 かけるばいんど✖️
幼馴染の茉由にバレーやろうと誘われて始めたそれは私にとっては真剣にやるものでなくて。
仲良く、楽しく。
部員が多いからリベロもセッターも二人いて、練習では9人制でやったり。
私は適度に動いて邪魔をしない。
トスもレシーブも苦手だからだ。
楽しいお遊戯の時間。
でもサーブを打つのは好きだった。
リベロに拾ってもらいセッターにボールを上げてもらわなくても出来る勝負。
孤独で孤高。
フローターとか小細工は必要は無い。
オーバーフォームでただ私の思う場所目がけて真っ直ぐボールを打ち出すだけ。
その一球に全力をこめる。
ただその精度を上げる事に腐心して六年はあっという間に過ぎた。
ずっと幼馴染のボールを受け続けた私の腕は手は、すっかり皮の厚さを増しちょっとやそっとの剛球に負けなくなっていた。
レシーブとトス。ちょっとは上手くなった、…はず。
ゲームメイクとか観察眼とかは相変わらずからっきしだ。