第3章 現実逃避
教室に入ると真っ先に雨宮君が目に入った
向こうも教室に入ってきた私を見る
不覚にも、目が合った瞬間
少しだけ意識してしまった...
「あゆ、おはよう!」
友達の声でハッとする
「あ...おはよ」
(気にしないって決めたんだから。いつも通りにしなくちゃっ!)
「元気ないね?何かあった?」
この子は、神田 茉莉(カンダ マリ)
高校に入ってから仲良くなった友達
明るくて、元気で、すっごくいい子だ
「大丈夫だよ。ありがとう」
私が微笑みながらそう言うと、茉莉もニッコリと笑った
私のちょっとした変化にもすぐ気づいてくれて、すごく心配してくれる
いつも思うけど...私は友達に恵まれている
仲良くなる子は皆いい子ばかりだ
席について茉莉とお喋りをする
いつもの朝と同じ
もう一度、一瞬だけ雨宮君の方を見たけど彼も気にしていない様子だった
昨日の事は、早く忘れよう...