第12章 絡まった想い[下]
『葵、広間に呼んだ人数も極端に少なかったわね』
『今は大きく発表する時期ではありません。正式に、結婚の話が進んでからでも遅くはないかと...』
『そう...。葵、私を裏切ったら...許さないから』
『......』
葵の返事は無かった
代わりに璃央の楽しげな声が続く
『計画は随分狂ったけど、恵は手に入ったわ。駿はあの様子だと私たちのフランス行きを阻止しに来るでしょうね。...葵、任せたわよ』
『はい...』
『恵にはこの顔に付けた傷...、ちゃんと償ってもらわなくちゃ...』
璃央の言葉に背筋が凍った
こいつ...こんなに性悪だったか?
昔はもっと...
『部屋を片付けさせる為にすぐにメイドを参らせます。...それでは、失礼いたします』
葵の声に我に返ると扉から耳を離し、すばやくその場から離れた
璃央が言った通り、駿たちは俺を引き止めにくるだろう
駿たちを傷つける事は絶対許さない
(やっぱり...、フランスへ行って璃央と結婚するしかないのか...)
恵は嘆息し唇を強く噛みしめると拳を固く握った