第8章 癒えない傷
中へ入ると、薄暗い部屋の中で
母が父に...殴られていた....
(あぁ、そうだ...これは...)
『悪魔が来たぞ。お前が産み落とした悪魔だよ...。なあ?』
父が項垂れている母の髪を掴み上げると、母は苦痛の悲鳴を上げた
その光景がひどく怖くて涙が溢れて止まらなくなる
――やめてっ...お母さんに乱暴しないで!
母に近寄って父の手を振り払った
母へと手を伸ばすと顔を上げた母の顔を見て俺は...凍りついた
生気の無い
死神のような形相の母
『ねえ...恵。悪魔は...生きてちゃダメなのよ...』
母の白い手が首に伸びてきて、冷たい手が首を掴む
『お願いだから、消えてちょうだいっ...!』
――ぼくは...悪魔