
第10章 七

まず歩みを進めたのは、玄関から向かって左側の廊下。確かに廃校なだけあって、壁ももろく感じられた。
全ての教室を周ってみたが手がかりになりそうなものはなかった。何かの一部らしき金属部品も探してみたが、どこの教室のどの場所にもなかった。
一番端の教室から出て一つ溜息をついた。
まあ簡単に終わるのもつまらない。次は向かって右側の廊下へ行くことにした。
すると、「ひゃっふぉぉぉ!!!!」
「…」
足を止め、一人黙りこくる。
何処をどう聞いても平腹の声だ。それに木製の物が壊される音が聞こえる。
その音は私から見て一番奥の廊下から聞こえた。つまり、今私が行こうとしていた場所からだ。何だか心配になり、歩みを早めに進めた。そして色々考えた。
最初に聞こえた破壊音は恐らく道を封じていた机等が破壊された音だろう。だが後から聞こえた破壊音は何だ。校舎を壊すような真似はしないだろう。多分。なら訳があって…
そこまで考えていると、いつの間にか玄関前に来ていた。田噛の姿は其処には無く、佐疫も谷裂もいなかった。
あともう一つ、先ほどまで嫌というほど鳴っていた破壊音は止んでいた。気がすんだ…のか?失礼なのは承知だが、平腹が自ら気を収める姿は見たこともないし聞いたこともないしまず想像できない。
何かあったのかとまた更に不安が募る。一つ一つ教室の扉を開け、平腹が居ないかを確認していた。
「…平腹さん?」
姿を見つけたのは二つ目の教室だった。
黒板の横にある掃除用具入れの横で倒れていた。…というより、寝ていたの方が合っている。
肩辺りを何度かつついて見ると、案外すぐに平腹さんは目を覚ました。
「おぉ!?こーおりー!!!!」
寝ていた状態からガバッと起き上がり元気よく話かけてきた。
「あの…、どうかしたんですか?ここで倒れてて」
「えっ」此処で会話が止まる。
「わからん」
「…そうですか」
まぁこう返ってくるのは分かっていなかったというわけではない。
思ったより呆れた顔を私はしていたのか、平腹は腕を組み、暫く考えこんだ。
そんなに時間が経たない内に、目を大きく見開き前のめりになって話した。
「そう!!そうそうそう!!!!何かいたんだよ!!追いかけたんだよ!!!!その後はよくわからん!!」
「…怪談ですかね?」
「なんかなー、黒いボールみてぇなやつ!!」
「怪談ですね。何処に言ったんでしょうね…」
