第9章 禄
死ぬのか
今、ここで
短い人生だった。
勝手に祀られて
勝手に決めつけられて
勝手に殺されるのか
暗くて何も見えない人生。
唯一の{光}も、今はもう消されてしまった。
安子
私に安らぎという名の光を与えてくれた存在。
『私は、貴女様に光を与えられていましたでしょうか。 …… 最期まで』
なんで安子が
なんで私が
「なんで私が…?」
*
田噛が開けた(?)職員室らしき部屋の扉に手を掛け、一つ思い当たる。
「…すみませんが、積み上がっている机等を退かして頂けませんか?その後は……自由行動、でいいので」
「おー!!わかった!!!田噛いこーぜ!!」
「…疲れた。俺は寝る」
「ふぉ!?」
大体平腹と田噛の二人だけの仕事以外はほとんどこのようなスタイルだ。やることはやっているしいいか、と納得している。
「…おや?」
職員室の扉を開け、中に入ると早速気になるものを発見した。
照明の反射で光っている。玩具の金属か何かか…。
手に取ってみると、それは予想通り。何かの一部らしいものだった。
「一応、とっておきましょうか。」
その金色の軽い金属をポケットの中に入れた。
その時。
ガツン、と後ろから頭を思い切り殴られたような感覚がした。
軽く眩暈がして、流れてきたのは怒号と泣き声だった。
怒号は大人の女性の声、泣き声はまだ幼い女の子の声だった。
『馬鹿な子!!何度言ってもわからないだなんて!!いい加減にしてよ愚図!!育ててやってるのに誰に似たのかしら!!』
『ごめんなさい』
『迷惑ばかりかけて!!あんたなんかいなきゃよかった!!』
『もうしないから』
『そうしたら私、幸せになれたのに!!』
『だから、 … 許して』
どうして生まれてしまったの
出来損ないの、私
「これは…、亡者の記憶?」
最後の言葉は幼い少女と同じ声だった。
なのなら、亡者は幼い少女だったということがわかった。
幼くしてこんなに母に怒号を浴びせられ、さぞ悲しく、悔しく、寂しかっただろう。
「ただ、好き勝手暴れていたわけではないのですね」
ポツリと一人呟く。