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獄都二居座ル狐ノ子

第8章 伍


「…災藤さん?」
やや早足で執務室へと向かっていると、向かいの廊下から災藤さんが来ていた。驚いたのはその姿だ。いつも綺麗に手入れされているロングコートの軍服はずたずたに斬り裂かれいて、血で汚れていた。明らかに返り血ではないことがわかった。頬も同じように斬り傷ができていたからだ。
その姿を見て、後ろからついてきていた平腹も「ほ!?」と声をあげていた。
「やあ、田噛。それと平腹も一緒かい。二人は仲が良いね。」
「…腐れ縁です。」
「それよりも!!それよりその傷どうしたんですか!!?」
心配して、というより、任務も殆ど無傷で帰ってくる災藤をこんなにぼろぼろにできる相手は誰だろう。といったように好奇心で聞いているようにみえた。
「あぁ、じゃあ執務室の中で話そうか。肋角にも言わないといけないしね。」

説明によると、傷は狐織によるものらしい。平腹も脇で「あー、狐織かー!!あいつも強いもんなー!!」と納得していた。
「態とではないよな?あいつが自ら俺達に攻撃するとは考えにくいが」
「事故みたいなものさ。抵抗しなかった私も悪いから、咎めないでほしいな」
「あぁ。 ……して、田噛等はなんの用だ?」
肋角が椅子に座り、手を組んだままこちらへ視線を向けた。
「俺は単純に狐織が心配だから!!いつだかぶっ倒れたときみたいになったら大変だから!!」
「成程。田噛も同意見ととっていいな?」
「…はい」
視界の端で平腹がこちらをにやにや笑いながら見ている。苛ついたので腹を殴った。
「いってぇ!!わかったよ俺が悪かったって!!」
倒れた平腹をもう一度殴る寸前、平腹が謝ったので舌打ちを一回して済ませた。
「元気なのは良いことだが、任務での喧嘩はするなよ?」
「…はい、すみません」
転がっていた平腹が立ち上がったところで、肋角は話を進めた。
「では、任務内容を改めて説明するぞ。」




廃校に着き、入口から建物に入ると机、椅子が散乱していた。それに加えて散乱したものが高く積み上がっている。力ずくで退かさなくては通れないだろう。
「さて…、どうしましょうか」
その時。
後ろにひやりとした気配を感じた。
「曲者!!」
衝動的に、鞘の上にささっている小太刀を抜きながら行う高く抜刀術を繰り出した。
我に返り、そこを見るとどうやら怪談のようだった。
先程災藤さんを斬ってしまったのが脳に残ってしまった。
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