第10章 エクストラワン
「ってやりとりがあったんだけど、龍也先輩からもなんか言ってやってよー!」
「ふーん・・・黒崎がねぇ」
嶺二に東椰のIDを教えて数日後。どうやら上手い事仲良くなれたみたいだな。
IDは・・・まあ、ギリOKだろ。
だが、昨日黒崎が東椰を口説いたらしい。
その事について嶺二が愚痴りに俺の部屋に押しかけて来た。・・・ったく、せっかく仕事も学校も休みだってのに。
「そりゃ、グレーちゃんに4人で組んでみればって言われて嬉しかったけどさ。ぼくもグレーちゃんとなら是非とも組んでみたいのにっ!」
「(林檎の言ってた通りにモテてんだなアイツ・・・)
・・・あー、取り敢えず落ち着け。っつーかお前は何にイラついてんだ?」
「何って・・・またブロックされちゃったんだよ!」
「ブロックって・・・おま、何回目だよ」
「多分30回目。
・・・れいちゃんそろそろ心折れそう」
「・・・それ、明らかいじられてねーか?」
東椰のやつ・・・明らかに嶺二をブロックして楽しんでるだろ。
「けどまあ、なんつーか黒崎も変わったな」
「うん、ぼくちんもビックリだよ。
グレーちゃんと知り合ってから、なんだか前より活き活きしてるって言うかさ・・・」
「それを言うなら、お前ら4人にも当てはまるだろ。
この前なんて美風があいつの曲聞きながらフレーズ口ずさんでたしよ」
「アイアイが?
言われてみれば確かに・・・。・・・あーあ、一回でいいからグレーちゃんに会ってみたいなあ」
「・・・俺としては、あいつにもっと他人と交流して欲しいんだがな・・・。ったく、なんであんな頑ななんだか・・・」
「有名になりたくない、って言ってたよね・・・。
シャイニーさんも知らないの?」
「トップシークレットだとよ。
・・・まあ、わざわざアイドルコースの授業受けさせてんだから社長も詳しくは知らねーんだろうけど・・・」
「・・・・・・わざわざ受けさせてる?」
「・・・あ」
「って事は、グレーちゃんまさかの作曲家志望!?
あ、でもアイドルコースの授業受けてるって事は・・・・・・えっ、シンガーソングライター!??」
・・・やっべ、やっちまった。
今更訂正しようとしても・・・こうなった嶺二に言い訳効きづらいしな。
・・・・・・まあ、なんとかなるか。