第11章 劣情
―――――――「1週間後、楽しみに待ってるね!」
悠里ちゃんの声が、耳に残って、離れない。
俺は次に会うとき、どんな顔をして―――――いや、どのツラ下げて、悠里ちゃんに会えばいいのか。いっそ、急にシフトが変わったとか言ってみようか、それとも最悪ドタキャンでもしてしまおうか?
「―――――ハッ……」
自嘲的な嗤いが漏れる。
俺は、こんなどうしようもない俺なのに、それでも悠里ちゃんに会いたいなんて、厚かましくも思っている。しかも、こんなエロい夢まで見て。もし、悠里ちゃんがこんな俺を知ったら、どう思うだろうか――――――呆れる?軽蔑する?それとも、やっぱり『潜在犯』は『潜在犯』だった、なんて具合に、この『社会』の常識を再確認するのだろうか。単に何も知らないからなのかもしれないが、悠里ちゃんが、俺のことを「嫌いじゃない」と言ってくれているのだから、そこが救い。俺の気持ちはもう、ぐちゃぐちゃだけど、それは仕方のないことで。
だからせめて、1週間後、悠里ちゃんには楽しい思いをして、過ごしてもらおう。
気持ちの整理なんてつかないし、何をどう納得して、この『世の中』と折り合いをつければいいのかなんて、全く分からないけれど、俺は獲物を狩る『猟犬』として、『獣を狩る獣』として、今日も生きていく。