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シャングリラ  【サイコパスR18】

第10章 天然


「実はまだ、悠里ちゃんが持ってきてくれたチョコレートが、半分ぐらい残ってるんだけど、次は冷やして、お酒と一緒にどうかな~なんて……」
「お酒?」
 お酒って、嗜好品のアレだろうか。確か、煙草なんかと一緒で、依存の危険性から、一般的にはあまり進んで摂取している人はいないと聞く。メンタル及び色相に影響を与えかねないと危惧されることから、世間では避けられる傾向にある。
「秀星くんは、お酒飲むの?」
「俺、『潜在犯』よ?こういう悪い遊びは、俺らの特権!でも心配なら、悠里ちゃんは別のモン飲んでていいからさ。今度、お互い次の日が休みか、俺の出勤が午後からの時とか、また一緒に、メシでも食わねぇ?」
 秀星くんは、慣れた様子で左手のデバイスを操作して、勤務シフトを表示させた。私も、端末の勤務シフト表を呼び出して、
「んー、いちばん早くて、1週間後……かな?」
「んじゃ、その日で決まり!俺、その日は早く帰れるし、悠里ちゃんのためにゆっくり準備して待てるから、期待しててよ!まぁ、緊急招集が無ければだけど。……あ、今日も時間あるなら、軽くメシ食ってく?今日はあんまり材料ないから、大したモン作れねーけど。」
「うん!ありがとう!」

 結局、また秀星くんにたっぷりご馳走になっちゃって。秀星くんのやっているゲームの話とか、一係の人たちの話なんかを聞いていたら、時間がすぐに過ぎて、私は幸せな気持ちのまま、帰路に就いた。
「1週間後、楽しみに待ってるね!」
 私は、自分の気持ちを、できるだけ言葉に乗せて。

 1週間後が、待ち遠しくて待ち遠しくて、胸が焦れる。



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