第66章 星に願いを 前編
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それから、10日ぐらい経って、やっと待機命令が解除された。久し振りに外へ出て、肺いっぱいに、街の空気を吸い込んだ。あんな報道があったなんて、全て嘘みたいな、平穏な街並み。
あの暴動は、一体何だったのか?
そう思うけれど、報道規制が厳しくなったのかどうかすら、一般市民である私には分からない。
秀星くんとの通信は、相変わらず繋がらない。
ただひとつ変わったことといえば、以前は『公安局以外の端末からは通信を遮断しております』とかいったメッセージが流れていたのが、あの日を境にして、『その端末は現在使われておりません』という内容のメッセージになったことだ。
その時の私は、これが意味するところを、考えないようにしていた。