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シャングリラ  【サイコパスR18】

第64章 幸福論



「何?」
 きょとんとした瞳で私を見る秀星くん。相変わらず、こういうふとした時の表情は、幼くて可愛い。
「1日早いけど、誕生日プレゼント。どうぞ。」
 秀星くんは、ラッピングを見た瞬間、目を輝かせた。
「わー!!くれんの!?ありがとう、悠里ちゃん!!」
「わっ!?」
 プレゼントの包みごと、抱きしめられた。
「開けていー?」
 秀星くんは、キラキラとした目で、ラッピングをほどいた。

「ベルト……?」
「うん。」
 相変わらず、プレゼントは何がいいか分からなかったけど、ベルトにしてみた。
「嬉しいけど、なんで……?」
 秀星くんが、不思議そうに理由を尋ねてきた。首をかしげているところとか、仕草がもはや小動物だ。
「これなら、仕事中でも、身に着けられるかなー、とか……。」
 私が選んだのは、本革の、ちょっとオシャレなやつ。ただ、男性用のベルトなんて、何を基準にどう選んでいいかも分からなかったので、ネットのレビューなんかも参考にして、ユーザー評価の高いものを選んだ。ちょっといいお値段したわけだけど、普段秀星くんに「料理」をご馳走になっているので、これぐらいのお礼はしたかった。
「~~~!悠里ちゃん、カワイイ!超カワイイ!!」
 言いながら、秀星くんはまた私を抱きしめた。
「ね。もいっこ、いい?」
「うん。」
 いいよ。秀星くんなら、何だって。

 ふわっと重ねられた唇。ほんのりとした秀星くんの体温と、優しい匂い。私はしばらく、秀星くんを感じていた。

「あー……、やっぱ、無理……。」
 唇を離して、開口一番に呟いた秀星くんの顔は、紅く染まっていた。

「ねぇ、軽くメシ食ったら、さ……。」
「うん……、いいよ……。」



 甘くて優しい時間。温かな秀星くんの体温。秀星くんの鼓動。秀星くんといると思うのだ。人を好きになるって、こんなにも深く、切ないんだって。こんなにも、幸せなんだって。朝、目を覚ましても、秀星くんが隣で居てくれる。それを想うだけで、涙が出る。ずっと、こうして、体温を分け合っていたい。心から、そう思える。ずっと、これからも……






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